
イントロからエレキギターが軽やかに鳴り響き、まるで初秋の風が頬を撫でるような爽やかさでリスナーの心を一気に解きほぐす。「only one」はその名の通り、かけがえのない瞬間を音で切り取ったような一曲だ。ビートはローファイヒップホップらしい優しいザラつきを持ちながらも、芯のあるリズムを刻み、心地よい浮遊感を生み出している。中盤に差しかかると、繊細なハープの音色がふわりと現れ、記憶の奥にある情景がふと立ち上がるような感覚に包まれる。その透明感と柔らかさが、時間の流れをゆっくりにしてくれる。そしてサビでは、フルートが流れるように旋律を紡ぎ、感情の波がゆるやかに高まっていく。抑えたトーンのなかに確かな感情が宿り、優しさと切なさが共存する。静かに胸に残る、まさに“only one”な音楽ジャーニーになる。