ピアノの裏打ちコードとダークなシンセパッドが唐突に吹き荒ぶ風のようなイントロ。タイトなタムがパーカッシブに散りばめられ、歪んだロービットのボイスの掛け合いとシンセリフが絡み、ステッパーリディムが刻み出す。そこに張り裂けそうな重厚なベースラインが登場すると、疾走感溢れるステッパーダブの構成が繰り出され、このトラックの印象を決定づける。しかし展開は一転、新たなシンセリフからフランジングされたアルペジオが空間を支配し始め、ブレイクビーツのループとキックベースで4つ打ちのテクノへと展開。中域に浮遊するLFOのシンセリフと剥き出しの単音のシンセリフが登場してのクライマックス感。そして終盤戦はステッパーリディムとブレイクビーツのコンビネーション、ループされたロービットボイスのみが居残り、実にアグレッシブな融合。真のクライマックスを迎える。展開と構成の面白さに加え、ダブのギミックで聴かせどころが各所に設けられ、6分半の長尺であることが全く気にならない仕上がりとなっている。