米が欲しくなる (feat. NORMANDIE GANG BAND)
METEOR CHIN-HURTZ NORMANDIE GANG BAND
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(Recommend by DJ H!ROKi)
前作「しかしあれだな」から僅か8ヶ月の短いスパンで、
METEOR & CHIN-HURTZ(以下メテチン)の通算4枚目となるフルアルバム「スカイブラザー」がリリースされた。
以前にも増して様々なイベントでライブ活動を展開している彼らの勢いそのままに、本作は幕を開ける。
メテチンの作品ではもはやお馴染みのプロデューサー、ICE MINTが手掛ける”GOD TAXI”で新たなアルバムはスタートする。
重厚感がありながら夜の街を駆け抜けるような疾走感を備えたビートが、これから始まるアルバムへの期待感を煽る。
そこに抜群の情景描写力とユーモアが溢れるMETEORのラップが加わり、
バースが終わるとライブ会場で一緒に歌いたくなること間違いなしのリズミカルなフックへとなだれ込む。
アルバム開始からまだ2分足らずだが、早くもアルバムのハイライトを迎えたかのような盛り上がりを見せる。
続くCHIN-HURTZも、METEORとは一味違うオリジナリティ溢れるラップを持ち前の軽妙なタッチで繰り広げる。
まだ1曲目を終えた段階なのに、既にファンの期待を軽々と上回っている。
続く2曲目"ファミリーソング"のビートを手掛けるのはArch Beats。
メテチン関連作品の常連であり、彼らの音楽活動を支える重要人物だ。
2000年代初頭の日本語ラップバブル期を彷彿とさせる、少しやんちゃな雰囲気のビートは、アルバム冒頭の高いテンションを受け継ぐだけに留まらず、リスナーを更に混沌とした世界観に引きずり込む役割を見事に果たしている。
そんなビートに呼応するように、主役の2人も1曲目からの勢いをキープし、
そしてフックでは本アルバムの中でも1、2を争うほどの破壊力のあるラインを繰り出す。
さらに終盤には盟友zoeが登場し、彼の武器である切れ味鋭いラップを披露する。
zoeの参加によって楽曲のタイトさが一段と増し、また愛に溢れたリリックが加わったことで素晴らしい「ファミリー・アンセム」となった。
3曲目はメテチン名物の悪霊退治シリーズ第27弾となる”悪霊退治 PART.27 - コーヒーの悪霊 -“。
ビートは再びICE MINTだが、前の2曲とは打って変わって落ち着いた印象のメロウな楽曲で、フックではMETEORのリラックスした歌声が響き渡る。
タイプこそ違えど非常にキャッチーな楽曲が続き、序盤から一気に畳み掛ける展開にリスナーは圧倒されることだろう。
このアルバム前半の流れにこそ、いま現在の彼らの充実感と勢いが表れていると思う。
そしてこの楽曲を皮切りに、アルバムは新たなテーマをリスナーに提示する。それは「食」だ。
ヒップホップでは自身の暮らしぶりやライフスタイルをリリックや楽曲の題材として扱うことは多いが、衣食住の中でも「食」に焦点を当てる楽曲は、「衣」と「住」をテーマとする楽曲に比べてはるかに少ないと思う。
しかし本作では、3曲目にコーヒー、5曲目にカレーとラーメン、6曲目に肉、7曲目に魚、そして8曲目には米と、食事をメインテーマとして掲げる楽曲が非常に多い。
敢えて「食」というテーマを取り上げる行為に対して、単なるユーモアだけでなく、日常生活の中での感覚や自由な発想を大切にするスタンスだったり、凝り固まったヒップホップのイメージを覆そうとするアティテュードが感じられる。
これらの楽曲において、まるで水を得た魚のように生き生きとラップしているのがMETEORだ。
どんなテーマでも様々な言葉をスムーズに紡いでいく。
これまでにも和菓子屋やお菓子のCMソングなどにも携わっているが、今回のアルバムからも、彼の食に対する強いこだわりを感じた。
そんな「食」をテーマとした楽曲群の中でも一際輝きを放っているのが、ボーナストラックを含めるとアルバムのちょうど真ん中に位置する8曲目の”米が欲しくなる”だ。
Yasterizeが手掛けたアッパーなビートに乗せて、METEORとCHIN-HURTZが米への熱い想いを綴る。
NORMANDIE GANG BANDの2人を前面に押し出したフックも大変素晴らしく、何かのきっかけさえあればヒップホップの枠を超えてヒットしそうなポテンシャルを秘めている。
今までのメテチンの作品の中でも間違いなく最もキャッチーな楽曲だ。
アルバム終盤にかけても個性的な楽曲が続くが、その中でもとくに12曲目”寝まくる曲”が素晴らしい。
旧友PIRAROCKによるビートは、寝転がりながらインストをずっと聴いていたいと思わせるほど最高に心地良く、2人がこのテーマを選ぶのも納得がいく。
リラックスしながらも小気味良いフック、楽曲全体を通じてのチリンな雰囲気などは、BUDDHA BRAND ”ブッダの休日”に通じるものがある。
今回のアルバムの中でもとくにお薦めしたい一曲だ。
駆け足での紹介となったが、今回のアルバムも聴きどころ満載だ。オリジナリティを追求しつつユーモアを忘れない彼らの世界観に多くの方が触れることを願う。
前作「しかしあれだな」から僅か8ヶ月の短いスパンで、
METEOR & CHIN-HURTZ(以下メテチン)の通算4枚目となるフルアルバム「スカイブラザー」がリリースされた。
以前にも増して様々なイベントでライブ活動を展開している彼らの勢いそのままに、本作は幕を開ける。
メテチンの作品ではもはやお馴染みのプロデューサー、ICE MINTが手掛ける”GOD TAXI”で新たなアルバムはスタートする。
重厚感がありながら夜の街を駆け抜けるような疾走感を備えたビートが、これから始まるアルバムへの期待感を煽る。
そこに抜群の情景描写力とユーモアが溢れるMETEORのラップが加わり、
バースが終わるとライブ会場で一緒に歌いたくなること間違いなしのリズミカルなフックへとなだれ込む。
アルバム開始からまだ2分足らずだが、早くもアルバムのハイライトを迎えたかのような盛り上がりを見せる。
続くCHIN-HURTZも、METEORとは一味違うオリジナリティ溢れるラップを持ち前の軽妙なタッチで繰り広げる。
まだ1曲目を終えた段階なのに、既にファンの期待を軽々と上回っている。
続く2曲目"ファミリーソング"のビートを手掛けるのはArch Beats。
メテチン関連作品の常連であり、彼らの音楽活動を支える重要人物だ。
2000年代初頭の日本語ラップバブル期を彷彿とさせる、少しやんちゃな雰囲気のビートは、アルバム冒頭の高いテンションを受け継ぐだけに留まらず、リスナーを更に混沌とした世界観に引きずり込む役割を見事に果たしている。
そんなビートに呼応するように、主役の2人も1曲目からの勢いをキープし、
そしてフックでは本アルバムの中でも1、2を争うほどの破壊力のあるラインを繰り出す。
さらに終盤には盟友zoeが登場し、彼の武器である切れ味鋭いラップを披露する。
zoeの参加によって楽曲のタイトさが一段と増し、また愛に溢れたリリックが加わったことで素晴らしい「ファミリー・アンセム」となった。
3曲目はメテチン名物の悪霊退治シリーズ第27弾となる”悪霊退治 PART.27 - コーヒーの悪霊 -“。
ビートは再びICE MINTだが、前の2曲とは打って変わって落ち着いた印象のメロウな楽曲で、フックではMETEORのリラックスした歌声が響き渡る。
タイプこそ違えど非常にキャッチーな楽曲が続き、序盤から一気に畳み掛ける展開にリスナーは圧倒されることだろう。
このアルバム前半の流れにこそ、いま現在の彼らの充実感と勢いが表れていると思う。
そしてこの楽曲を皮切りに、アルバムは新たなテーマをリスナーに提示する。それは「食」だ。
ヒップホップでは自身の暮らしぶりやライフスタイルをリリックや楽曲の題材として扱うことは多いが、衣食住の中でも「食」に焦点を当てる楽曲は、「衣」と「住」をテーマとする楽曲に比べてはるかに少ないと思う。
しかし本作では、3曲目にコーヒー、5曲目にカレーとラーメン、6曲目に肉、7曲目に魚、そして8曲目には米と、食事をメインテーマとして掲げる楽曲が非常に多い。
敢えて「食」というテーマを取り上げる行為に対して、単なるユーモアだけでなく、日常生活の中での感覚や自由な発想を大切にするスタンスだったり、凝り固まったヒップホップのイメージを覆そうとするアティテュードが感じられる。
これらの楽曲において、まるで水を得た魚のように生き生きとラップしているのがMETEORだ。
どんなテーマでも様々な言葉をスムーズに紡いでいく。
これまでにも和菓子屋やお菓子のCMソングなどにも携わっているが、今回のアルバムからも、彼の食に対する強いこだわりを感じた。
そんな「食」をテーマとした楽曲群の中でも一際輝きを放っているのが、ボーナストラックを含めるとアルバムのちょうど真ん中に位置する8曲目の”米が欲しくなる”だ。
Yasterizeが手掛けたアッパーなビートに乗せて、METEORとCHIN-HURTZが米への熱い想いを綴る。
NORMANDIE GANG BANDの2人を前面に押し出したフックも大変素晴らしく、何かのきっかけさえあればヒップホップの枠を超えてヒットしそうなポテンシャルを秘めている。
今までのメテチンの作品の中でも間違いなく最もキャッチーな楽曲だ。
アルバム終盤にかけても個性的な楽曲が続くが、その中でもとくに12曲目”寝まくる曲”が素晴らしい。
旧友PIRAROCKによるビートは、寝転がりながらインストをずっと聴いていたいと思わせるほど最高に心地良く、2人がこのテーマを選ぶのも納得がいく。
リラックスしながらも小気味良いフック、楽曲全体を通じてのチリンな雰囲気などは、BUDDHA BRAND ”ブッダの休日”に通じるものがある。
今回のアルバムの中でもとくにお薦めしたい一曲だ。
駆け足での紹介となったが、今回のアルバムも聴きどころ満載だ。オリジナリティを追求しつつユーモアを忘れない彼らの世界観に多くの方が触れることを願う。